英語発音を勉強するメリット
通じれば良いんだよ、英語なんて、発音なんて気にしなくていいよ。
じゃぁ発音を勉強するメリットって?
発音が良ければ思いを単語ひとつで伝えることができます。発音が悪ければ単語ひとつでは相手に通じないので、文章で話して説明しなければなりません。でも初心者が英語の文章を作れるはずがない。だから単語で話すのが精一杯でしょう。
勉強方法は次の2つのどちらかです。
発音は悪くても完璧な文章が話せるようになるまで勉強するか、発音を完璧にして単語だけで意図を伝えるか。
トーマス・スティール氏の著書だったと思いますが、親しい人との日常会話はワンワードだ!ということが書いてありました。
言われてみればたしかにそうです。
日本語だって、コーヒー?紅茶?お砂糖は?と単語で会話をします。それが自然な会話です。カップ一杯のコーヒとカップ一杯の紅茶とあなたはどちらを飲みますか?コーヒーにお砂糖はいれますか?
親しい間柄でこんな変な会話はしませんよね?
英語でも同じです。Coffee? Tea? Sugar?
この時に、Coffeeと発音するのが難しいです。
Fの音を出せていないとコーラが出てくるという話は有名です。ホントに出てきます。
でもFの音を発音できれば無事コーヒーが出てきます。
I will have a cup of coffee.と言っているつもりが、相手にはI will have a cup of coke.と聞こえます。この客、cokeって言ってるけど、コーラにcupは変じゃない?聞き直してみよう。あれ?やっぱりcokeって言ってる、でもa cup ofってやっぱり言ってる。Coke?と念押しで聞いてみたらNo, Coke.だと答える。Noって言ってるぞ。もう一度Coke?と聞くとNo, Coke.だと。おかしいなぁ、またコーラじゃないと言っているぞ。
まさかCoffee?って冗談で聞いてみたらなんとそれがビンゴ!Yes!って言ってる。
で、やっとコーヒーが出てくる、こんな調子だと大変でしょう?
だから発音ってとても重要なのです。
もっと重要なこと
それ以前に、自分が発音できる音(単語)は全部聞き取れる、というあまり知られていない法則があります。リスニング力を高めたいなら聞く練習ばかりするのではなく、自分の発音を良くしなさい、というわけです。
ただ、自分で発音できない音でも聞き取れることはあります。普通にあります。
ここはその話をしているのではありません。聞き取れない音を聞く方法について書いています。
そんなこんなで、英語発音は重要だからどうやったら発音を習得できるのかの研究を始めました。発音というとフォニクスが有名ですが、それって??微妙です。
ここでは詳しく書かないですが、英語の音を知らない日本人には向いていない方法だと思います。このことは斉藤厚見さんという方が詳しく書かれていると思うので興味ある方は斉藤さんのご著書を読むか、問い合わせてみてはいかがでしょうか?
この斉藤さん、面白いことを言われてます。日本語の中に英語発音は全部あると。日本語は50音じゃなくて472音だと書いてあります。「英語発音は日本語でできる」ちくま新書、斉藤厚見著
この本に書いてあることを要約すると、英語発音にとても似ている音が日本語の会話の中にある。だからその音を使えば英語発音なんて簡単にできるはず。
ちょっと違うかもしれませんが、
掘った芋いじるな、がWhat time is it now?のような話です。
斉藤先生は長野県の伊那市にお住まいです。
伊那に梨はなりますか?
伊那梨なる?
がinternationalの正しい発音でインターナショナルでは通じないと。
日本語には非常にたくさんの音があるのに、仮名ができたときに(平安時代?)日本語の音は50種類になってしまったと。だから日本人はかれこれ1200年以上に渡り英語の発音が苦手なんだ(と言われたかどうかは知りません)。
たとえば、「ん」の音で説明すると、「本、本買う、本もらう、本忘れる」の中に出てくる「ん」の音は全部違うのに仮名で書くと皆「ん」になってしまう(参考までのそれぞれの音は、ん、ng 、m、uやwに近いん)。
だから日本語の音を正しく表記できる仮名を作ってそれで英語の音を説明すれば誰だって英語発音ができるというものです。
たしかにinternationalの発音を教えるよりも
伊那梨なる の方が日本人は自信を持って発音できます。
余談ですが、最後の「る」の発音は違うだろう?と思う方もいるかもしれませんが、通常は、はっきりと「る」を発音しないのです。普通の会話では。
最近では斉藤氏の類似書がいくつか出てきているように思います。
もうひとつの課題
さて、日本人で英語発音が上手な人はあまりいません。たまに上手な人がいても、単語は綺麗に発音できるのに、文章になると途端に発音が下手になるようです。
他にも、早口で話していると上手に発音しているようだけれど、ゆっくり話してもらうと途端に下手な発音になってしまう人がいます。
これはなぜ?
何かが違うんだろうなぁ。
それと、外人の声は響くのになぜ日本人の声は響かないのか?ゆっくり喋った途端に発音が全然違うと感じたのは、じつはこの響きが全くなかったからだということに気づきました。
日本人は英語を速く発音することで音をごまかしていたにすぎないのでは?と考えるようになったのです。
話はここから歌の話題に変わります。
じつは私は超がつくほどの音痴でした。恥ずかしくて歌が歌えません。でも今は音痴ではありません。歌を習ったからです。
ある日、何かのきっかけで私は根っからの音痴であることを友だち(音楽事務所経営)に話したのです。そしたら、良い先生がいるからレッスン受けてみたら?と言う話になって、彼の勧めでボイストレーニングを受けることになりました。
その先生はプロ歌手を指導されている超一流のボイストレーナーであり、作曲家であり歌手でもあるじつに多才な方です。
そんな先生の門をド素人のしかも超音痴な私が叩いたのですから先生にしてみればさぞかし滑稽だったでしょう。場違いもはなはだしい。
しかし、先生は私をあたたかく迎え入れてくださいました。偉大な人は寛大ですね。
あとで聞いてみたところ(ここはプロ歌手が来るところなのに)超音痴な人がボイストレーニングのレッスンに来るなんて『世の中には面白い人がいるものだ』と私のことを思われたとのこと。
さて、初回のレッスンを終えたとき、遠くの方に明かりが見えたような気がしました。もしかしたら音痴がなおるかもしれない。
ノドにつまっているものが取れるかもしれない、と感じました。
先生に「僕の音痴はなおりますか?」と勇気を出して聞いてみました。
すると「山崎さんは音痴じゃないですよ。出そうと思っている音が出せない、つまりノドがついて来ていないだけです。音はちゃんと分かってるから大丈夫です」
優しい♪でも、音痴だと思うんだけどなぁ、だって全然音が合わないし、声域が狭すぎて歌なんか歌えやしない。
一方で、先生の教え方は論理的で納得できる内容でした。
どうすれば声が出るようになるのかが理解できました。一発この先生に賭けてみるか!
そして英語の発音のことなど忘れて先生のボイストレーニングに通うことにしました。毎週一生懸命に通いました。
そんなある日、先生から「歌というものは音がつながっているんだよ。話すときのように音を切ってはいけないよ」と教えていただいたのです。
『へぇ〜そうなんだ、全く知らなかった...いや、ちょっと待てよ。音がつながっている?それってもしかして英語を話すときと同じじゃないか?』
忘れていた英語発音のことが気になり始めました。
ボイストレーニングが終わって自宅に帰り、久しぶりに英語発音の練習でもしてみるかと思って英文を音読してみたのです。すると!驚くことに自分の発音がネイティブのようになっているではありませんか!なぜに??
もしかするとボイストレーニングは英語発音を良くする効果があるのかもしれない。そう思って次回のレッスンのときに、先生に質問をしてみました。
先生は「声は声帯を振動させることで出るのです」と。
なるほど、多くの発音教本にあるように舌や唇が発音のポイントではない。舌や唇を使うのは音を仕上げるためなんだ!
声帯を自由に使えるように教えることが本当のボイストレーニングで、このレッスンができるのは日本でいや世界で僕だけだ、と先生は仰いました。本当かなぁ?(笑)
帰宅してからボイストレーニングについていろいろ調べてみました。でも、どのトレーナーも言っていることは先生とは違うことです。自分の身体を楽器のように使いなさい。音を共鳴させるのだと。
先生の指導は全く違います。共鳴ではなく、声帯のコントロールが重要なのだとしつこいくらいに言われます。
日本語で普通に会話をした瞬間に、それは声帯のコントロールができていないことを意味する、と先生は仰いました。
「日本語で普通に会話をした瞬間に、それは声帯のコントロールができていないことを意味する」なるほど!英語ネイティブの英語発音と日本語ネイティブの英語発音の違いの原因が分かった瞬間でした。
ボイトレと英語発音がつながった!英語発音の疑問が氷解した!
英語の音を出す出し方(声帯の使い方)が間違っているんだ日本人は。
生まれてから誰にも言えなかった音痴コンプレックスを克服しようと努力する中で、英語発音の疑問が氷解したのでした。もし、私が音痴でなかったら、先生に出会うこともなく、ここに到達することはできなかったと思います。
世界中のほとんどの発音教材が口の形と舌の位置で発音の仕方を教えています。たしかにそれは間違いではありません。でも(それは枝葉末節と書いてしまうのは言い過ぎですが)舌と唇の使い方は、いわゆる音の仕上げの部分ではないでしょうか?
舌と唇の訓練だけでは不十分だと思うようになりました。
スコットペリーという発音の先生がいます。数多くの日本人や外国人俳優さん女優さんたちに発音のレッスンをされてきた方です。
彼はアメリカ人の息の長さについて(日本人と比較して)次のようなことを言っておられます
アメリカ人は息をたくさん吸って一気に喋る。長い文章を息継ぎすることなく喋る。同じことを日本人がやろうとしてもできない、それは日本人のやり方では息が漏れてしまうからだ。舌の使い方が違うのだ、と。
舌の奥の方を上あごに接触させることで息が漏れないようにする旨のことを言われていたと思います。そのことは決して間違いではありません。
(日本人は上あごに舌の奥の部分はつけることはほとんどなく、アメリカ人は上あごにつけることがあるからです)
ただ、音を作り出すという観点から言えば、つまり声帯のコントロールから考えれば、スコットペリー先生のその発言はトンチンカンなことに思えるのです。
トンチンカンとは失礼な!とスコットペリー先生のファンの方々やお弟子さんたちに叱られそうな気がします。すみません。
スコットペリー先生の名誉のために書きます。彼がそういう発言をしたのも無理はないと思います。
日本人は声帯から息を漏らして発音するなんてことを誰も考えもしないからです。
先生のレッスンを受けていく中で、この方法を応用すれば英語ネイティブと同じように響く綺麗な発音ができるようになるに違いない、と確信するに至ったのです。
先生が教えておられることをマスターしてそれを応用して英語発音ができるノドを作る方法を考えようと思ったのです。
以上がSASが誕生するまでの長いストーリーです。
発声方法を学ぶのと、歌を上手に歌えるようになりたいは似て非なるものです。
正しい発声方法の習得は簡単ですが、カラオケで90点以上出せるようになりたい、とか、歌手デビューしたい、というような場合には発声以外の音楽的要素も必要です。
音痴を克服するには発声練習を音階でやらなければなりませんが、喋るためだけならそこまでやる必要はありません。
だから歌が苦手な人でも得意な人でもこのSASで学べば誰でもネイティブ発音になれるのです。しかもSASは従前の発音トレーニングとも相性が良いので、これまでの発音レッスンが無駄になりません。
声帯をコントロールできるようになった上で、舌や唇の使い方ができれば完璧だからです。
話は変わりますが、先日、子供が海外留学から帰って来ました。
留学後、半年ほど経って周りの人たちが話す言葉が理解できてきたので、自分も少しずつ話始めたところ、全く通じないことが何度もあったそうです。
発音が悪いのか、イントネーションが違うのか、それとも文そのものが間違っているのか?
と思って聞いてみると
「声が小さいから何を言っているのか分からない」と言われたそうです。
つまり、発音とかそういう話以前の問題だったのです。聞こえないから発音が正しいかどうかも判断できない、というのです。
日本人と話をすることすら初めての彼らは、声が響かない人間に会ってさぞかし驚いたことでしょう。
声が小さい、と彼らが感じたのは、正しく言うと、声が響いていない、ということです。
発声と発音をしっかりマスターしておけば、語学力がなくても単語だけで意思表示をすることができます。言語習得で一番重要な部分が発声と発音です。
ここをしっかりやっていないから、話す英語に自信がなく、声がますます小さくなり、いつまで経っても英語が上達しないのです。
日本語を話すときに声が小さい人は海外留学を考える前に、TOEICなどで高得点を取ろうと思う前に、正しい発声方法をマスターしましょう。
あなたの声が響けば、相手はあなたにアドバイスしてくれるようになります。
その発音はこうした方が良いよ、イントネーションはこうだよ、意味は通じるけどネイティヴはそういう言い方ではなくて、こういう言い方をするよ。
どうですか?この方法で語学を習得すれば、生きた言語が身につくと思います。